不動産査定とは?営業が見るポイントと査定の流れを解説
不動産査定とは?営業に欠かせない重要な仕事
不動産営業の仕事に興味がある方なら、「査定」という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。不動産査定とは、売却を希望する不動産について、どのくらいの価格で売却できる可能性があるのかを検討する業務です。不動産営業では、査定をきっかけに売主との関係が始まるケースも多く、営業活動の入口となる重要な仕事です。
例えば、戸建住宅の売却を検討しているお客様から「この家はいくらくらいになりますか?」と相談されたとします。営業担当者は、土地の広さだけを見て金額を決めるわけではありません。周辺でどのような価格で取引されているのか、駅からの距離はどうか、前面道路はどうなっているか、建物はどのような状態なのかなど、さまざまな情報を確認していきます。
ここで大切なのが、不動産会社が行う価格査定と、不動産鑑定士が行う鑑定評価は同じものではないという点です。不動産鑑定評価は国家資格である不動産鑑定士が行う制度上の業務であり、不動産会社が売却価格について意見を述べる際には、その価格の根拠を明らかにすることが宅地建物取引業法で定められています。
つまり、不動産営業に求められるのは、単に「この物件なら3,000万円です」と数字を出すことではありません。なぜその価格になるのかを調べ、売主に分かりやすく説明し、その後の売却活動までつなげていく力が必要になります。
「不動産営業は物件を紹介する仕事」というイメージを持っている方もいるかもしれません。しかし実際には、物件を調査し、価格を考え、顧客に説明し、売却戦略を組み立てるなど、さまざまな業務があります。不動産査定は、その仕事内容を理解するうえでも分かりやすい業務の一つです。
不動産査定で営業は何を見る?
では、実際に不動産営業が査定をするときには、どのような情報を確認するのでしょうか。大きく分けると、土地、建物、周辺環境、取引事例、市場の状況などを確認していきます。
例えば、同じエリアに同じくらいの広さの土地が2つあったとしても、査定額が同じになるとは限りません。駅からの距離や前面道路、土地の形状、周辺の住宅環境などが異なれば、購入する人から見た価値も変わるからです。
- ・駅やバス停からの距離
- ・土地の面積や形状
- ・前面道路の幅や接道状況
- ・用途地域などの法規制
- ・周辺の住宅環境や生活利便性
- ・近隣で行われた不動産取引
- ・建物の築年数や構造
- ・リフォームや修繕などの履歴
特に不動産営業で重要になるのが、「似た不動産が実際にいくらで取引されているのか」を調べることです。近隣の取引事例を参考にしながら、対象となる物件との違いを比較していきます。
例えば、駅から徒歩8分の築15年の戸建住宅を査定するとしましょう。周辺で似た広さの住宅が3,500万円で取引されていたとしても、そのまま3,500万円と判断するわけではありません。対象物件の駅距離、土地の形、道路条件、建物の状態などを比較し、違いを考慮して価格を検討します。
建物についても、築年数だけを見ればよいわけではありません。外壁や屋根、水回りなどの状態や、これまでどのような修繕が行われてきたのかも確認することになります。「築年数が古いから安い」と単純に判断せず、物件ごとの状態を確認することが営業担当者の役割です。
この仕事では、机の上だけで完結しない場面もあります。実際に物件を見に行き、周辺の道路幅や隣接する建物、駅までの道のりなどを確認すると、資料だけでは分からない情報が見えてくることがあります。こうした現地感覚も、不動産営業にとって重要な知識になります。
不動産査定にはどんな方法がある?
不動産の価格を考える方法には、いくつかの考え方があります。不動産鑑定評価の基本的な手法としては、原価法、取引事例比較法、収益還元法が挙げられます。それぞれ着目するポイントが異なるため、どのような不動産を評価するのかによって使い分けられます。
取引事例比較法は、周辺で実際に行われた類似不動産の取引事例をもとに、対象となる不動産との違いを比較して価格を考える方法です。住宅などの売買をイメージすると分かりやすく、現場の不動産営業でも周辺の成約事例を確認することは重要な作業になります。
原価法は、同じ建物を現在もう一度建てるとしたらどの程度の費用が必要なのかという考え方をもとに、建物の経過年数などによる減価を考慮して価格を求める方法です。建物の価値を考える場面で使われる考え方であり、構造や建築費、劣化状況などへの理解も重要になります。
収益還元法は、その不動産が将来的にどれくらいの収益を生み出すのかという視点から価格を考える方法です。賃貸マンションやオフィス、店舗など、収益を生み出すことを前提とした不動産を考えるときにイメージしやすいでしょう。
ただし、ここで不動産営業を目指す方が覚えておきたいのは、「3つの計算方法を覚えれば査定ができる」という話ではないということです。実際の査定では、地域の相場や過去の取引、物件の特徴、売主の希望など、多くの情報を整理しながら価格について考えていきます。
さらに、不動産会社が売却価格について意見を述べる場合には、その根拠を説明することが求められます。そのため、「なんとなくこのくらい」と感覚だけで価格を提示するのではなく、「近隣の成約事例がこの水準で、この物件にはこうした特徴があるため、この価格が妥当だと考えます」と説明できることが重要です。
査定の仕事は、数字を計算する仕事というよりも、さまざまな情報を集め、それを整理して、一つの価格としてお客様に伝える仕事だと考えると分かりやすいでしょう。
査定した後が不動産営業の腕の見せどころ
不動産査定を終えたら、仕事が終わるわけではありません。むしろ、そこからが不動産営業としての腕の見せどころです。査定結果を売主に説明し、売却価格や販売方法について相談しながら、実際の売却活動につなげていきます。
例えば、営業担当者が「3,500万円程度が妥当です」と査定したとします。しかし、売主から「できれば4,000万円で売りたい」と言われることもあるでしょう。このとき、単純に売主の希望に合わせればよいわけではありません。高い価格で売り出すことで、購入希望者が集まりにくくなる可能性も考える必要があります。
一方で、周辺相場だけを理由に機械的に価格を決めるのも適切とは限りません。物件の状態や立地条件によっては、周辺の事例と異なる価格になることもあります。そのため、売主の希望を聞きながら、市場の状況や物件の特徴を踏まえて現実的な提案をすることが営業担当者の役割になります。
ここには、不動産営業ならではの難しさがあります。数字だけを扱う仕事であれば、明確な正解を出せる場面もあります。しかし不動産の売却では、売主の事情や希望、購入者側のニーズ、市場の状況など、さまざまな要素を考えながら判断しなければなりません。
そのため、不動産営業には次のような力が求められます。
- ・物件情報を正確に確認する力
- ・周辺相場や市場を調べる力
- ・数字や資料を読み取る力
- ・お客様から希望や事情を聞き出す力
- ・査定結果を分かりやすく説明する力
- ・売却までの進め方を提案する力
特に未経験から不動産営業を目指す場合、「専門知識がないと難しそう」と感じるかもしれません。もちろん覚えることはありますが、最初からすべてを理解している必要はありません。物件を見る、調べる、比較する、説明するという経験を積み重ねることで、少しずつ不動産を見る視点が身についていきます。
不動産査定の仕事に向いている人とは?
不動産査定の仕事は、単純に数字が得意な人だけに向いているわけではありません。物件そのものに興味がある人や、街を見ることが好きな人、人と話しながら情報を整理することが得意な人にも適性があります。
- ・数字や資料を確認することが苦にならない
- ・建物や土地を見ることが好き
- ・地域や街の変化に興味がある
- ・人の話を聞いて情報を整理するのが得意
- ・専門知識を身につけながら営業力も高めたい
- ・自分で考えてお客様に提案する仕事がしたい
反対に、最初からすべてを完璧に覚えようとすると、難しさを感じることもあります。不動産には土地や建物だけでなく、法律、税金、住宅ローン、建築など幅広い知識が関係するからです。しかし、これは見方を変えれば、経験を積むほど仕事の幅を広げられるということでもあります。
例えば、最初は先輩について物件を見に行くだけだった営業担当者が、経験を重ねることで周辺相場を調べ、自分で査定の根拠を整理し、お客様への説明まで担当できるようになることがあります。さらに、売買仲介だけでなく、土地活用、収益不動産、開発、リノベーションなど、不動産に関する別の仕事へ知識を広げられる可能性もあります。
不動産査定を知ると、不動産営業という仕事が「物件を売る仕事」だけではないことが見えてきます。不動産そのものを調べ、地域を知り、数字を分析し、お客様の希望を聞き、最終的な提案につなげる仕事だからこそ、さまざまなスキルを身につけられる仕事でもあります。
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