ランドスケープ設計とは?公園や広場をつくる仕事の魅力とキャリア
ランドスケープ設計とは?まずは言葉の意味から理解しよう
「ランドスケープ設計」という仕事を知っていますか。「公園を設計する仕事なの?」「造園とは何が違うの?」と疑問に思う方も多いでしょう。実際に、建設業界に興味がある方でも、この職種を詳しく知っている方はそれほど多くありません。しかし近年は、都市開発や再開発、環境への配慮、防災意識の高まりなどを背景に、ランドスケープ設計の重要性がますます注目されています。
まずランドスケープ(Landscape)とは、英語で「景観」や「風景」を意味する言葉です。ただ景色を表すだけではなく、自然・建物・人の暮らしが調和した空間全体を指します。そのため、ランドスケープ設計とは人々が快適で安全に過ごせる屋外空間を計画・設計する仕事と考えるとイメージしやすいでしょう。
設計の対象は非常に幅広く、公園や広場だけではありません。駅前広場や歩道、商業施設、マンションの外構、学校、病院、オフィス、河川、公園、リゾート施設など、私たちが日常的に利用している屋外空間の多くにランドスケープ設計が関わっています。
- ・公園や緑地の設計
- ・駅前広場や歩行者空間の整備
- ・商業施設やオフィスの外構計画
- ・マンションや住宅地の植栽計画
- ・河川や水辺空間の整備
- ・観光施設やリゾート開発
例えば、新しい公園を整備する場合には、遊具を配置するだけではありません。子どもが安全に遊べる動線、高齢者が散歩しやすい園路、木陰をつくる植栽、災害時の避難スペース、夜間の安全性など、多くの視点から空間を設計します。「美しい景観をつくること」と「利用する人が快適に過ごせること」を両立させるのが、この仕事の大きな役割です。
また、「造園」と混同されることもありますが、造園が庭園や植栽の計画・施工を中心とするのに対し、ランドスケープ設計は建築・土木・造園・都市計画を組み合わせながら空間全体をデザインする仕事です。そのため、街づくりや地域の価値向上にも深く関わる、スケールの大きな仕事だといえます。
この記事では、ランドスケープ設計の仕事内容や年収、必要な資格、仕事の魅力や大変な点、将来性まで詳しく解説します。「街づくりに携わりたい」「自然と共存する仕事がしたい」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
ランドスケープ設計の仕事内容|街の景色をデザインする仕事
ランドスケープ設計の仕事は、単に公園や庭をデザインすることではありません。屋外空間全体を計画し、人が安全で快適に利用できる環境をつくることが大きな役割です。見た目の美しさだけでなく、利便性や防災性、環境への配慮、維持管理のしやすさなど、多角的な視点から設計を行います。
プロジェクトは、現地調査から始まり、発注者との打ち合わせやコンセプトの立案、基本設計・実施設計、施工会社との調整、完成後の確認まで、長期間にわたって進められます。案件によっては行政や地域住民との協議を行うこともあり、多くの関係者と連携しながら仕事を進める点も特徴です。
- ・現地調査・敷地条件の確認
- ・発注者や行政との打ち合わせ
- ・設計コンセプトの企画・提案
- ・CADや3DCGによる図面・完成イメージの作成
- ・植栽・舗装・照明・ベンチなどの配置計画
- ・施工会社との設計調整
- ・工事中の現場確認や完成検査
例えば、駅前広場をリニューアルするプロジェクトでは、「通勤・通学で利用する人が歩きやすい動線になっているか」「ベビーカーや車いすでも移動しやすいか」「イベント開催時にも利用しやすい広場になっているか」といった点を考慮しながら設計を進めます。利用する人の立場になって空間を考えることが、この仕事では欠かせません。
また、ランドスケープ設計は建築設計とも密接に関わります。建物だけが魅力的でも、周囲の空間が使いにくければ、その施設全体の価値は高まりません。そのため、建築設計者や土木設計者、造園会社、施工管理担当者などと協力しながら、一つの空間をつくり上げていきます。
近年では、ヒートアイランド対策として緑地を増やす設計や、豪雨時の浸水対策を考慮した雨水利用、防災公園の整備、生物多様性に配慮した植栽計画なども重要なテーマになっています。ランドスケープ設計は、美しい景観をつくるだけではなく、社会課題の解決にも貢献できる仕事として期待されています。
ランドスケープ設計に必要な資格・スキルと年収
ランドスケープ設計として働くために、必須となる国家資格はありません。しかし、建設・造園・土木・都市計画などの知識が求められるため、学生時代に専門分野を学んだ方や、建設業界での実務経験を活かして転職する方が多い傾向があります。
また、業務では設計ソフトを使用するため、CADや3DCGソフトを扱えると大きな強みになります。AutoCADやVectorworks、Revit、SketchUp、Lumionなどを使用する企業もあり、図面作成だけでなく完成イメージを提案する機会も増えています。
さらに、設計だけではなく多くの関係者と仕事を進めるため、コミュニケーション能力や調整力も欠かせません。行政や発注者、施工会社など、それぞれ異なる立場の意見をまとめながらプロジェクトを進める力が求められます。
- ・CADや3DCGソフトを扱うスキル
- ・建築・土木・造園に関する基礎知識
- ・植栽や景観デザインの知識
- ・プレゼンテーション能力
- ・コミュニケーション能力・調整力
- ・現場を理解する観察力や課題解決力
取得しておくと評価されやすい資格としては、「技術士(建設部門・都市及び地方計画など)」「RCCM」「1級・2級造園施工管理技士」「1級・2級土木施工管理技士」などがあります。必須ではありませんが、キャリアアップや転職時の評価につながるケースも少なくありません。
年収は勤務先や経験によって異なりますが、一般的には400万円〜700万円程度が一つの目安です。経験を積んでプロジェクトリーダーや管理職へ昇格したり、大規模な都市開発や公共事業に携わったりすることで、さらに高い年収を目指せます。また、設計事務所だけでなく、ゼネコンやデベロッパー、建設コンサルタントなど活躍できるフィールドが広いことも、この仕事の魅力です。
ランドスケープ設計の魅力・大変なこと・将来性
ランドスケープ設計の最大の魅力は、自分が設計した空間が長く街に残り、多くの人に利用されることです。完成した公園で子どもたちが遊ぶ姿や、駅前広場で多くの人が憩う様子を見ると、「この仕事をしていて良かった」と感じる方も少なくありません。
また、建物だけではなく街全体の景観や暮らしやすさを考える仕事であるため、社会への貢献を実感しやすい点も魅力です。近年ではSDGsや脱炭素社会への取り組みが進み、緑化や環境配慮型の街づくりへのニーズも高まっています。そのため、ランドスケープ設計の重要性は今後さらに高まると考えられています。
一方で、大変な面もあります。設計変更への対応や工期の調整、行政との協議など、スケジュールどおりに進まないことも珍しくありません。また、多くの関係者と意見を調整する必要があるため、柔軟な対応力や粘り強さも求められます。
- ・多くの人の暮らしに貢献できる
- ・完成した空間が長く街に残る
- ・自然と建築の両方に関われる
- ・環境問題や防災など社会課題の解決に携われる
- ・プロジェクトごとに新しい発見がある
近年は再開発や都市公園の整備だけではなく、企業が保有するオフィスや商業施設でも「居心地の良い屋外空間」が重視されています。さらに、インバウンド需要の回復に伴う観光施設の整備や、地方創生に向けた地域活性化プロジェクトなど、活躍の場は広がり続けています。
建築や土木だけではなく、「自然を活かした街づくりがしたい」「人が集まる空間をデザインしたい」と考える方にとって、ランドスケープ設計は将来性の高い仕事といえるでしょう。
ランドスケープ設計は街づくりに貢献したい人におすすめの仕事
ランドスケープ設計は、公園や広場だけではなく、街路や商業施設、住宅地など、私たちの暮らしを支えるさまざまな屋外空間をデザインする仕事です。美しい景観をつくるだけではなく、安全性や利便性、環境への配慮など、多くの要素を考えながら街の未来を形にしていきます。
特に次のような方は、ランドスケープ設計に向いている可能性があります。
- ・街づくりや地域活性化に興味がある方
- ・自然や緑を活かした仕事がしたい方
- ・建築やデザインが好きな方
- ・人々の暮らしを豊かにする仕事に携わりたい方
- ・チームで一つのものをつくることが好きな方
一つのプロジェクトが完成するまでには多くの時間と労力が必要ですが、その分、完成した空間が何十年にもわたって地域に愛されることもあります。自分の仕事が街の風景として残り、多くの人の暮らしを支えることは、この仕事ならではの大きなやりがいです。
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