建設現場の原価管理とは?利益を守る重要な仕事を解説
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建設現場の原価管理とは?利益を守る重要な仕事を解説

建設現場の原価管理とは?まず知っておきたい基本

建設現場の原価管理とは?まず知っておきたい基本

「工事は予定どおり進んでいるのに、思ったほど利益が残らない」。建設業では、こうした悩みが起こることがあります。そこで重要になるのが建設業の原価管理です。



原価管理とは、工事を完成させるために必要な費用を把握し、計画と実績を比較しながら、工事の収支を管理することです。単純に費用を削るのではなく、決められた予算の中で、品質・工程・安全などを考慮しながら工事を進めるための管理と考えると分かりやすいでしょう。



たとえば、5,000万円で受注した工事について、完成までに4,200万円かかる計画なら、計画上は800万円の利益が見込まれます。しかし、材料の追加発注や外注費の増加、工期の延長などが重なると、実際の原価は当初の計画を超える可能性があります。



こうした変化を工事の途中で把握できれば、原因を確認して対応を検討できます。反対に、工事が終わってから原価の増加に気づいても、できる対策は限られます。



つまり、原価管理は工事が終わった後に利益を確認するためだけのものではなく、工事の途中で収支を確認するための重要な管理業務です。ここからは、実際に何を管理するのかを見ていきましょう。

工事原価は何で構成される?4つの費用を理解しよう

建設業の原価管理を理解するには、まず「工事にどのような費用がかかるのか」を知ることが大切です。建設業の完成工事原価は、一般に材料費、労務費、外注費、経費の4つに区分して集計されます。国土交通省の建設業許可申請の手引きに掲載されている「完成工事原価報告書」も、この4区分で構成されています。




  • ・材料費:工事のために直接購入した素材、製品、材料などの費用

  • ・労務費:工事に直接従事する作業員の賃金、給料、手当など

  • ・外注費:専門工事会社などに工事を依頼するための費用

  • ・経費:材料費、労務費、外注費以外の工事に必要な費用



たとえば、マンションの大規模修繕工事なら、塗料や防水材などが材料費、直接雇用する作業員の賃金などが労務費、足場工事や専門工事を協力会社へ依頼した費用などが外注費に該当します。



経費には、動力用水光熱費、機械等経費、設計費、租税公課、地代家賃、保険料、通信交通費など、材料費・労務費・外注費以外のさまざまな費用が含まれます。



ここで大切なのは、原価の項目を知るだけでなく、それぞれの費用が現在どの程度発生しているのかを把握することです。費用の内訳が分かれば、当初の計画と比べてどこに差が出ているのかも確認しやすくなります。

実行予算と原価管理はどうつながる?

原価管理を現場で行ううえで重要になるのが実行予算です。実行予算とは、工事を完成させるために必要となる費用を、工事の受注後などに具体的に計画したものです。



たとえば、5,000万円で受注した工事について、材料費1,000万円、労務費800万円、外注費1,800万円、経費600万円という実行予算を組んだとします。この場合、工事原価は4,200万円となり、計画上は800万円の利益が見込まれます。



しかし、工事が始まると、当初の計画どおりに進まないことがあります。材料の追加発注が必要になったり、設計変更によって施工内容が変わったり、工程の遅れによって追加の人員や機械が必要になったりするケースです。



そこで、工事中は「実行予算に対して、現在どのくらい原価が発生しているのか」を確認します。計画と実績に差があれば、その原因を確認し、今後どれくらいの原価が発生するのかを見直します。



たとえば、外注費が実行予算を上回っている場合、「なぜ増えたのか」を確認する必要があります。追加工事が原因なのか、施工量の増加なのか、別の要因なのかによって、その後の対応も変わるためです。



このように、実行予算は原価管理の基準となる数字です。計画した原価と実際に発生した原価を比較し、完成時の収支を見通すことが、原価管理の基本的な流れになります。

原価が増える原因と、現場で意識したい管理ポイント

建設現場で原価が増える原因は、一つとは限りません。材料の追加発注、設計変更、手戻り、工程の遅れ、外注費の増加など、さまざまな要因によって工事原価は変動します。



たとえば、現場で施工方法の変更が発生したとします。変更そのものは小さく見えても、材料の追加、職人の手配、作業日数の増加などが重なると、最終的な原価への影響が大きくなることがあります。



そのため原価管理では、「大きな赤字が発生してから対応する」のではなく、「小さな変化を早い段階で把握する」ことが重要です。




  • ・実行予算と実際の原価を定期的に比較する

  • ・材料や外注の発注状況を確認する

  • ・追加工事や設計変更の内容を記録する

  • ・工程の遅れが原価に与える影響を確認する

  • ・今後発生する原価を予測し、完成時の収支を見直す



ただし、原価を下げれば何でも良いわけではありません。必要な安全対策や品質確保まで削ってしまえば、事故や手戻りなどによって、かえって大きな損失につながる可能性があります。



近年は、建設業法の改正により、労務費や材料費、法定福利費、安全衛生経費などの必要経費を適切に確保するための取り組みも進められています。国土交通省は、労務費に関する基準を設け、適正な労務費の確保を促しています。



そのため、原価管理で意識したいのは「とにかく費用を安くすること」ではなく、「工事に必要な費用を把握し、適切に管理すること」です。



こうした原価を見る力は、施工管理の経験を積むうえでも役立ちます。現場の進捗だけでなく、工事全体の収支まで考えられるようになると、より広い視点で現場を管理できるようになります。

原価管理が向いている人と、これから身につけたい人へ

建設業の原価管理は、数字だけを扱う仕事ではありません。現場の状況を理解し、工程や品質、協力会社、発注内容などを確認しながら、工事全体の収支を考える仕事です。



そのため、次のような方は原価管理の知識や経験を身につけることで、施工管理として仕事の幅を広げられる可能性があります。




  • ・担当する工事の利益まで意識して仕事をしたい方

  • ・施工管理としてさらに上の役職を目指したい方

  • ・現場だけでなく工事全体を管理できるようになりたい方

  • ・将来的に現場代理人や所長などを目指している方

  • ・建設業で数字を扱う力も身につけたい方



最初から完璧な原価管理ができる必要はありません。まずは自分が担当する工事について、「いくらで受注し、いくら使う計画で、現在いくら使っているのか」を意識するところから始めてみてください。



現場を見る視点に「利益」という新しい軸が加わると、同じ工事でも見え方が変わってきます。施工管理として経験を積む中で、工程・品質・安全に加えて原価まで管理できるようになることは、現場をより広く見るための一つの力になります。



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