建設現場の生産性向上とは?人手不足を解決する方法
建設業で「生産性向上」が求められる理由
「建設業の生産性向上が必要」と聞いても、実際に何を変えればよいのか分からない方も多いのではないでしょうか。特に建設現場では、担い手不足や施工管理者の業務負担、書類作成など、さまざまな課題が重なっています。
建設現場の生産性向上とは、単純に「仕事を早く終わらせる」ことではありません。限られた人員や時間の中で、安全や品質を確保しながら、より効率的に工事を進められる状態をつくることが重要です。
国土交通省は、建設現場の生産性向上に向けて、ICT施工やデータ連携、施工管理のオートメーション化などを進めています。i-Construction 2.0では、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、すなわち生産性を1.5倍以上に向上することが目標として掲げられています。
では、実際の建設現場では何を変えていけばよいのでしょうか。この記事では、建設業の生産性向上につながる具体的な方法を、現場で働く方にも分かりやすく解説します。
建設現場の生産性向上とは?まず見直したい3つの無駄
建設現場の生産性を高めるうえで、最初から高額なシステムや最新機械を導入する必要はありません。まず重要なのは、現場で発生している「時間のロス」を見つけることです。
例えば、朝礼後に現場監督が事務所へ戻り、紙の書類を確認してから職人へ指示を出しているケースを考えてみましょう。1回だけなら大きな問題ではありません。しかし、毎日の確認や施工写真の整理、電話での確認などが積み重なると、まとまった時間が必要になります。
見直したい代表的な業務には、次のようなものがあります。
- ・同じ情報を何度も紙やExcelへ入力する作業
- ・現場と事務所を行き来して確認する時間
- ・電話や口頭だけで行われる情報共有
- ・施工写真や書類を後から整理する作業
- ・担当者によって方法が異なる属人的な業務
こうした業務は、すべてが「建設現場なら仕方がない仕事」とは限りません。写真管理アプリやクラウド、電子黒板などを活用することで、作業時間を減らせる場合があります。
つまり、生産性向上の第一歩は「人を減らすこと」ではなく、「人が時間を使うべき仕事に集中できる状態をつくること」です。
ICT施工・建設DXで現場の仕事はどう変わる?
建設業の生産性向上を考えるうえで、欠かせないキーワードがICT施工と建設DXです。ICTは「Information and Communication Technology」の略で、日本語では「情報通信技術」を意味します。建設分野では、ICTを活用して施工に関する情報をデジタルデータとして扱い、施工や管理の効率化につなげる取り組みが進められています。
土木工事では、ドローンなどを使った3次元測量や、ICT建設機械による施工が代表例です。国土交通省のICT施工では、3次元起工測量、3次元設計データの作成、ICT建設機械による施工、3次元出来形管理など、施工の各段階でICTを活用する取り組みが進められています。
例えば、広い造成現場で測量を行う場合、従来の方法では複数人が現場を歩いて測量することがあります。3次元測量を活用すれば、現場の状況をデータとして取得し、その後の設計や施工に活用することも可能です。
建築・土木を含む建設分野では、BIM/CIMをはじめとする3次元データの活用も進んでいます。BIM/CIMは、建設事業で扱う情報をデジタル化し、調査・測量、設計、施工、維持管理などの各段階でデータを活用・共有しやすくする考え方です。
例えば、設計情報を関係者間で共有できれば、図面だけでは分かりにくかった部分を確認しやすくなります。設計から施工まで同じ情報を活用することで、情報の受け渡しをスムーズにすることも期待できます。
ただし、ICTやBIM/CIMを導入すれば、自動的に生産性が上がるわけではありません。新しいシステムを導入した結果、入力作業が増えたり、現場で使いこなせなかったりすれば、かえって負担になる可能性もあります。
そのため、重要なのは「何のために導入するのか」を明確にすることです。「DXだから導入する」のではなく、「測量にかかる時間を減らす」「情報共有をスムーズにする」といった具体的な目的から考える必要があります。
生産性向上には「人」の働き方を変えることも重要
建設現場の生産性向上というと、ICTやAIなどの技術に目が向きがちです。しかし、実際の現場では業務の分担や情報共有、教育の仕組みを見直すことも重要です。
例えば、施工管理者が現場確認、職人への指示、施工写真の管理、工程管理、安全書類、発注者との連絡まで一人で抱えているとします。どれだけ便利なシステムを導入しても、仕事そのものが一人に集中していれば負担は減りません。
そこで、施工管理者しかできない仕事と、他の社員でも対応できる仕事を整理します。写真整理や書類作成などを事務スタッフが支援できれば、施工管理者は現場確認や工程調整など、より専門性の高い仕事に時間を使えます。
また、若手社員の教育も生産性向上と無関係ではありません。ベテラン社員が毎回同じ説明をするのではなく、作業手順や判断基準を動画やマニュアルに残しておけば、教育内容を共有しやすくなります。
もちろん、こうした取り組みには準備の手間がかかります。「忙しいから新しい仕組みをつくれない」という現場も少なくありません。しかし、忙しい状態をそのままにすると、特定の社員への負担集中や長時間労働につながる可能性があります。
だからこそ、生産性向上は「今の仕事をさらに速くする」だけではなく、「そもそもその仕事を誰が、どの方法で行うべきかを考え直すこと」でもあります。
生産性向上が進む建設業で求められる人材とは?
建設業の生産性向上は、企業だけの課題ではありません。これから建設業で働く方にとっても、仕事の選択肢や身につけるスキルを考えるうえで重要なテーマです。
これからの建設業では、従来の現場経験に加えて、デジタルツールを扱う力や、関係者と情報を共有する力も重要になります。特に施工管理では、工程・品質・安全・原価を管理しながら、デジタル技術を活用して業務を効率化する場面が増えていくでしょう。
そのため、次のような方は、これからの建設業で経験を活かすための選択肢を広げやすいでしょう。
- ・現場経験を活かしながら新しい技術も学びたい方
- ・施工管理や設計など専門性を高めたい方
- ・業務改善や建設DXに関心がある方
- ・現場だけでなくマネジメントにも挑戦したい方
- ・建設業界で長く働くためのスキルを身につけたい方
一方で、「ICTが苦手だから建設業では活躍できない」と考える必要はありません。重要なのは、すべての技術を最初から使いこなすことではなく、自分の仕事をより良くするために新しい方法を学ぶ姿勢です。
建設業界では、人手不足への対応や働き方の改善に向けて、生産性向上への取り組みが今後も進んでいくと考えられます。国土交通省も、i-Construction 2.0において「施工のオートメーション化」「データ連携のオートメーション化」「施工管理のオートメーション化」を3本の柱として取り組みを進めています。
「今の働き方を変えたい」「もっと専門性を高めたい」「自分の経験をどの会社で活かせるか知りたい」と感じている方は、まず現在の経験と希望条件を整理してみてはいかがでしょうか。
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そのうえで、「自分の経験をどう活かせるか整理したい」「建設DXや業務改善に取り組む企業への転職も考えてみたい」など、もう少し具体的にキャリアを考えたくなった方には、個別のキャリア相談も受け付けています。

