建設業の経理が難しい理由とは?一般企業との違いを解説
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建設業の経理が難しい理由とは?一般企業との違いを解説

建設業の経理はなぜ難しい?まず知っておきたい基本的な違い

建設業の経理はなぜ難しい?まず知っておきたい基本的な違い

「経理の経験はあるけれど、建設会社に転職したら急に難しく感じる」。建設業の経理では、このような戸惑いが珍しくありません。



その理由は、単純に仕訳の数が多いからではありません。建設業では、一つひとつの工事を単位として、お金の動きや原価を管理する必要があるためです。



一般的な小売業であれば、商品を仕入れて販売し、売上と仕入を対応させるという流れをイメージしやすいでしょう。一方、建設業では、工事を受注してから完成・引き渡しまでに長い期間がかかることがあります。



その間にも材料費、外注費、労務費などが発生します。しかも、それらの費用を「どの工事に、いくらかかったのか」まで把握しなければなりません。



つまり建設業の経理では、会社全体のお金を見るだけでなく、工事ごとの採算まで追いかける視点が重要になります。



この記事では、建設業会計の特徴を、実際の業務で起こりやすい場面と合わせて分かりやすく解説します。一般企業の経理経験がある方が建設会社への転職を考える場合にも、仕事内容をイメージする材料になるはずです。

一番の特徴は「工事ごと」に利益を管理すること

建設業の経理が難しい最大の理由は、会社全体だけでなく、工事単位で原価を管理する必要があることです。



例えば、A社から5,000万円の店舗改修工事を受注したとします。工事が始まれば、材料を購入したり、協力会社へ工事を依頼したり、現場でさまざまな費用が発生したりします。



経理担当者は「今月、会社から500万円出ていった」というところだけを見ていればよいわけではありません。その500万円がA社の工事なのか、別のマンション工事なのかを正しく管理する必要があります。



建設業では一般に、工事原価を材料費・労務費・外注費・経費などに分け、工事ごとに集計します。複数の工事に共通して発生する費用については、会社のルールに基づいて各工事へ配分することもあります。



例えば、現場で使用した材料の請求書が届いた場合、その金額だけを確認して終わりではありません。どの工事に使った材料なのかを確認し、適切な工事へ紐づける必要があります。



ここで工事を取り違えると、ある工事の利益が実際より高く見えたり、別の工事が赤字に見えたりします。現場担当者が「この工事は順調です」と考えていても、経理側の数字を見ると利益がほとんど残っていない、ということも起こり得ます。



そのため建設業の経理では、仕訳を正しく処理するだけでなく、工事別の数字を正確につなげる力が求められます。ここが一般企業の経理と大きく違う部分の一つです。

「未成工事支出金」など建設業特有の勘定科目がある

建設業の経理で最初につまずきやすいのが、一般企業ではあまり見慣れない勘定科目です。代表的なのが「未成工事支出金」です。



例えば、工事がまだ完成していない段階で、材料費や外注費などが発生したとします。このような工事途中の支出について、収益の認識方法などに応じて未成工事支出金として扱うケースがあります。



未成工事支出金は、簡単にいえばまだ完成していない工事にかかっている費用を管理するための科目です。工事が完成する前から多くの費用が発生する建設業では、重要な役割を持っています。



ほかにも建設業では、完成工事高、完成工事原価、完成工事未収入金、未成工事受入金、工事未払金など、工事の進行状況と関係する科目が登場します。



例えば、完成した工事についてまだ代金を回収していなければ、完成工事未収入金として管理することがあります。一方、工事代金を先に受け取っていて、まだ収益として認識していない場合には、未成工事受入金が関係します。



最初は「なぜ普通の売掛金や買掛金ではないのだろう」と感じるかもしれません。しかし、これらの科目には、工事が完成したのか、まだ途中なのか、どのような状態でお金が動いているのかを数字から把握する役割があります。



そのため、勘定科目の名前だけを暗記するよりも、「この工事は今どの段階にあるのか」と考えることが大切です。工事の流れと会計処理をセットで理解すると、建設業会計はぐっと分かりやすくなります。

売上をいつ計上するかも難しい?建設業特有の収益認識

建設業の経理では、「工事代金をいつ売上として計上するのか」という判断も重要です。工事を受注した時点で、その金額をすべて売上として計上するわけではありません。



現在の収益認識に関する会計基準では、一定の要件を満たす場合、工事などの履行義務について、進捗度に応じて一定の期間にわたり収益を認識する考え方があります。



例えば、1億円の工事を受注し、決算時点で工事が全体の40%まで進んでいるとします。契約内容や進捗度の測定方法などが基準上の要件を満たしていれば、工事の進捗に応じて収益を認識することがあります。



ただし、すべての工事が同じ処理になるわけではありません。契約の内容や履行義務、進捗度を合理的に見積もれるかなどを確認する必要があります。工期がごく短い工事については、一定の条件のもとで、完全に履行義務を充足した時点で収益を認識する代替的な取扱いもあります。



さらに難しいのが、工事途中で設計変更や追加工事が発生したケースです。「当初の予定より材料費が高くなった」「追加工事が入った」「工期が延びた」といった変化によって、工事原価や進捗度の見積りを見直す必要が出てくることがあります。



例えば、現場では順調に工事が進んでいるように見えても、追加工事によって原価が増えれば、当初想定していた利益率が変わる可能性があります。経理担当者が現場の状況を把握しておくことが重要になるのは、このためです。



つまり建設業の経理では、過去の請求書や領収書を正確に処理するだけではありません。現場で今何が起きているのかを理解し、その情報を適切に数字へ反映させる力も重要になります。

建設業の経理に向いている人とは?難しいからこそ身につく力

ここまで読むと、「建設業の経理はやっぱり難しそう」と感じる方もいるかもしれません。確かに、一般企業の経理と比べると覚えることは多く、工事別の原価管理や独自の勘定科目など、最初に戸惑いやすい部分があります。



特に、経理だけを見て仕事を完結させるのが難しい点は、建設業ならではの特徴です。現場担当者や営業担当者から工事の状況を聞き、請求書や契約内容と照らし合わせながら数字を確認する場面もあります。



一方で、見方を変えると、建設業の経理は専門性を身につけやすい仕事でもあります。工事ごとの利益を把握するためには、会計だけでなく、現場の流れや契約、材料、外注などについても知識が身につくからです。



特に、次のような方は建設業の経理と相性がよいでしょう。




  • ・数字を確認しながら、細かな違いに気づける方

  • ・一つひとつの仕事を丁寧に進めることが得意な方

  • ・経理だけでなく、現場や営業ともやり取りできる方

  • ・工事ごとの利益や会社のお金の流れに興味がある方

  • ・経理として専門性を高め、長く活かせる知識を身につけたい方



建設業の経理は、単に請求書を処理する仕事ではありません。工事の進み具合や原価を数字から読み取り、会社の利益を支える役割でもあります。



もちろん、建設業会計には独自のルールがあるため、未経験の方が最初からすべてを理解するのは簡単ではありません。しかし、一般企業で培った経理経験や簿記の知識を土台にしながら、少しずつ建設業特有の考え方を身につけていくことはできます。



もし建設業の経理への転職を考えているなら、「未経験だから難しい」と決めつける必要はありません。大切なのは、これまでの経験と建設業の経理で求められる知識との共通点と違いを把握することです。



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